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「アトピー皮膚炎治療のための新規低分子治療薬」の特許を取得

プレスリリース

株式会社ナノエッグは、この度「アトピー皮膚炎を治療または予防するための組成物」を開発、特許成立となりました。

皮膚の炎症と激しい痒みを発症し、回復基調と悪化を繰り返すアトピー皮膚炎は、これまでステロイドや免疫抑制剤であるタクロリムス軟膏と言った炎症を抑える薬剤塗布に加え、保湿などのスキンケアが治療法として確立していました。そして、近年になり痒みのメカニズムが解明され、病態理解の進展によって新薬が登場し、治療の選択肢が広がってきています。

一方で、詳細な発症メカニズムについては諸説あるものの、明確には解明されておらず、根本的な治療法の発見には至っておりません。

長年アトピー研究を重ねてきたナノエッグではアドレナリン受容体の作動薬(アゴニスト)に着目し、アトピー皮膚炎治療に有効であることを見出しました。これを受けて特許の申請、成立に至りました。

今後、薬が治療効果を及ぼす仕組みについて詳細に解析し、より効果的なアトピー性皮膚炎治療薬の開発を目指してまいります。

<アドレナリン受容体における皮膚の反応について>

皮膚細胞にはアドレナリン合成能があり、皮膚の恒常性に関与していると考えられる。
■実際、健常者の皮膚においてはアドレナリン受容体、特にβ2の遮断薬が皮膚のバリア機能の回復を早めることが報告されている(1)(2)。
■アトピー患者においては、ノルアドレナリン・アドレナリンの産生、及び分解に関わる酵素の発現異常が報告されており、血中ノルアドレナリンの上昇とアドレナリンの低下が確認されている(1)。
■一部の患者においてはアドレナリン受容体遺伝子に変異がみられ、アドレナリンに対する反応性が低下していることも報告されている(1)。
これらの知見は、アドレナリン受容体が疾患に強く関与していることを示唆しています。
そこでナノエッグは、アドレナリン受容体作動薬(アゴニスト)及び遮断薬(アンタゴニスト)の評価を実施。
作動薬(アゴニスト)が治療効果を示すことを立証し、更にアドレナリン類似骨格を持つ分子構造が、アトピー性皮膚炎の治療薬候補になり得ることを究明しました。
参考文献:
(1) J. Invest. Dermatol. 2006 Sep;126(9):1948-65.
(2) J. Invest. Dermatol. 2003 Jul;121(1):142-8.