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ナノエッグブログBLOG

界面活性剤は“悪いヤツ”ですか?

今回のテーマは、「界面活性剤は“悪いヤツ”ですか?」です。

今世の中にある化粧品は、メイク、洗い流し系、スキンケアなどカテゴリーを問わず、ほとんどの商品に界面活性剤が配合されています。これには目的があります。泡できれいに汚れを洗い流すためだったり、油分を配合した場合に乳化させて使用感を良くするためだったりなど、用途に応じて配合目的は様々です。

弊社でもお客様から「界面活性剤は入っていますか?」や、「界面活性剤は石油系ですか?」などの質問を受けることがあります。そう、つまり界面活性剤は完全に悪者扱いなのです。

そもそも界面活性剤とは何でしょうか?言葉から想像すると、界面を活性化する剤??うーーーん?ちょっと意味不明ですね。

界面活性剤とは???

Wikipediaによると、界面活性剤(かいめんかっせいざい、英語: surface active agent, surfactant)とは、分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質の総称。両親媒性分子と呼ばれることも多い。ミセルやベシクル、ラメラ構造を形成することで、極性物質と非極性物質を均一に混合させる働きをする。また、表面張力を弱める作用を持つ、とあります・・・。

ちょっと専門用語が多くて今一つわかりにくいですね。例えば水と油を混ぜるとお互いに分かれてしまいます。その時に界(さかい)ができます。その界がいわゆる界面です。ドレッシングなどで見かけますね。その界がなくなるようにするために、界にくっついて、きれいに並んで、まるで界がないようにごまかす、そうすることで、見た目上、分離せずにきれいに見えます。

言葉から受ける印象は、いかにも化学物質と言った雰囲気ですが、このような作用を持っている物質はたくさんあります。意外だなと思えるものに、私たち体を作っている細胞の表面は、リン脂質と言われる物質で覆われていますが、この物質は界面活性の能力があるので、細胞の表面を覆うことが出来ていますし、顕微鏡で覗いても、界はよくわかりません。

また、皆さんが良くご存知のタンパク質も界面活性剤としての役割を担うことが非常に多く、代表的なものに牛乳があります。牛乳は真っ白ですよね。真っ白な理由は、カゼインというタンパク質には界面活性能があって乳脂肪分と水との界をうまく埋めてくれているので、見た目真っ白で乳脂肪分は乳化した状態になっています(石井哲也、Milk Science Vol.54, No.1. 2005)。「乳」化という言葉はここから来ているのかもしれませんね。

このように、なんだかあやしい言葉の界面活性剤ですが、実は私たちが生きるために非常に大切な役割を担っているわけで、悪いヤツどころか、とっても役に立つわき役として活躍しています。

さて、化粧品など肌に使用する製品には、界面活性剤が配合されていることが多いです。化粧品は、肌を滑らかにしたり、使用する際に塗りやすくするために水と油を必要とする場合が多いのですが、水と油は混ざらないため、製造する時に分離してしまいます。これでは同じ状態で使用するのが難しくなってしまいます。そこで、乳化や分散(均一に散らばっているようにすること)を施しますが、これは製品の中身を均一にして、いつも同じ状態でご使用いただきたいためなのです。そのために界面活性剤は必要な成分になりました。

実は化粧品だけでなく加工食品などにも使われていることが多いです。もちろん食べても安全な界面活性剤しか使用されていませんので、ご安心下さい。

なんだか化学っぽい界面活性剤ですが、私たちの日常にはなくてはならない成分であることはお分かり頂けたのではないでしょうか。

一方で、言葉だけが独り歩きした感が強く、そのために石油系界面活性剤は危険などと言った話が出回り、消費者に不安を掻き立ててしまう事態になっています。もちろん石油が入っていることはありえず、とはいえ界面活性剤は化学合成したものが多いので、その点から勘違いをしている消費者も多いのではないでしょうか?

界面活性剤は危険???

現代の化学工業が発達した中で、合成品はほぼ石油がスタートの原料になります。界面活性剤だけが石油を使っているわけではありませんので、是非皆様にはこの機会に知って欲しいなと思います。

では、なぜ界面活性剤が危険だと思ってしまうのでしょうか?皆様のイメージの中には、顔に塗るものにキッチンの洗剤が入っている、はたまた洗濯に使う洗剤が入っているようなイメージを持たれてしまうのでしょうか?そうであれば確かにイヤですね。しかし、化粧品に使っている界面活性剤は、肌に使用しても大丈夫かどうかの安全性試験を実施しています。もちろんナノエッグの商品も同じで、パッチテストと言って、皮膚科でも実施する、肌にテープを貼って24時間、48時間放置するなどして、赤くなったりかゆくなったりしないか確認済みの問題ない成分を使用しています。

また、さらにRIPTテストと言って、商品を長期に使用した場合にアレルギーが起きないかどうか確認するための試験も実施しています。もちろんこの試験をしたからと言って必ずアレルギーが起きないということではありませんが、お客様の選択指標になると考えています。

界面活性剤は、界(さかい)にくっつく成分なので、使用する成分よっては、そして皆さんの肌の状態によっては刺激になることもあり得ます。そのため、私たちは、特に後者である、お客様の肌の状態も考慮し、界面活性剤を使うかどうかを含めて商品開発をしております。

次回はその話をしたいと思います。

山口 葉子

株式会社ナノエッグ 代表取締役社長
聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター客員教授

にゃのエッグ

コスメ大好きネコ。
お肌のことをたくさん勉強中
チャームポイントはたまご柄の模様
鼻がうるおいセンサーになっている